【質問】:国外財産調書の提出制度が創設されたと聞きましたが、どのような内容の制度でしょうか。
【答え】2013年より新たにスタートする制度です。2013年の年末に国外に財産を5000万円以上所有する人は、国外財産調書という財産の一覧表を作成し税務署に提出するという制度です。提出しなかった場合には厳しいペナルティが課せるようになっています。
この制度は国外財産に関係する所得や相続財産の把握のために作られたそうです。国外財産とは外国の銀行に預けた預金、海外で取得した株式、債券、不動産などが含まれます。また、その財産から生じる、銀行利息、株式配当、有価証券売却益、債券利息、賃貸料収入、不動産売却益は日本の税務署への申告対象になっていますので注意が必要です。そしてこの国外財産調書は国外財産が5000万円以上所有している人であれば、確定申告の有無に関係なく、お住まいを管轄する税務署に提出する必要があります。
国外財産調書の提出の有無の判断は、2013年より毎年12月31日現在にて、その日の外国為替レートで換算した財産が5000万円を超えるかどうかにより判断します。超えた場合は翌年の3月15日までに財産の一覧表(国外財産調書)を作成し税務署に提出することになります。
また、ついうっかり提出を忘れてしまった場合、提出した国外財産調書から故意に財産を外した場合には、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金という厳しい罰則も設けられています。情状酌量の規定も付けられていますが、期限内に適正な内容の国外財産調書の提出が求められています。
なお、国外財産調書を提出して、そこに書かれた国外財産に関係して所得税や相続税の申告漏れがあっても加算税が5%減額されるのに対して、提出していなかったり、書かれていなかった国外財産の所得税が申告漏れになった時は加算税が5%増額されるという制度もありますので、国外財産調書を作成するときには充分な注意が必要です。
神奈川韓国商工会議所 顧問税理士 李富鉄